イジワル社長は溺愛旦那様!?
午前中の業務を終えて、昼休み、夕妃はランチへと向かった。
たまに恭子とふたりで出ることもあるが、今日はひとりだ。
(なに食べよう……ガッツリ食べたい気分だけど)
会食が多い湊は、普段から朝食を食べずにコーヒーを飲むだけなので、夕妃も気が付けば朝をあまり食べないようになっていた。
昼までにお腹が空けば、秘書室の冷蔵庫や戸棚には、頂き物の菓子などがたくさんあるので、それをつまむこともあるが、今日はおやつも食べていない。
(迷う……あったかいもの食べたいけど、ラーメンとかそういう気分じゃないし)
コートの上に巻いたショールで首元をしっかり覆いながら、夕妃は足早にランチの看板が立ち並ぶ店を物色する。
行きかう人々が次々店に入っていくのを横目に、夕妃は真剣にランチに悩んでいた。
そしてしばらく歩いて発見した路地裏に続く細い道に、【アツアツのシーフードグラタンランチ! 限定10食!】というボードを発見して、夕妃は立ち止まった。
メインストリートから左折し、ドアの外からそれほど広くない店内を覗く。