イジワル社長は溺愛旦那様!?

「そっか……でも見た目じゃないって二度言わなくてもよくない?」
「ワハハ」
「笑わないでよっ!」


夕妃も笑いながら、わざとらしく笑う朝陽の腕をもう一方の手でたたく。


(本当にちょっとしたこと……そんなことって思うような、些細な出来事、かぁ……)


確かにそうかもしれない。

自分だって、湊の車の前に飛び出してからいろんなことがあった。
甘い言葉も優しいキスも全部嬉しかったけれど、結局、湊の些細な行為や言葉で彼を意識し、彼のことを好きになったのだ。


(だけど、きっと覚えてないんだろうなぁ……湊さん。今度話してみようかな)




朝陽を見送ってから、夕妃もタクシーに乗ってマンションに帰る。

ほんの少しだけ酔いが体に残っている。

気分よくエレベーターに乗り込み、部屋に戻ると、スーツの上着だけを脱いだ湊がリビングでグラスを傾けながらスマホを眺めていた。


「あ、湊さん、帰ってたの?」


夕妃はそのまま湊のもとに向かう。


「ああ。お帰り、夕妃」
「ただいま。朝陽くん、今日も元気そうでよかったよ~。お風呂の前にお茶でも飲もうかな」


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