イジワル社長は溺愛旦那様!?

夕妃の言葉を聞いて、湊がかすかに息をのむのが伝わってきた。

そして無言のまま、腕に力がこもる。
肩のあたりに湊の額が押し付けられる。

子供のようなしぐさに、夕妃は湊がまた愛おしくなった。


「湊さん、一緒にお風呂に入ろう」
「――どうしたんだ、急に」
「いつも洗ってもらってばかりだから。私が湊さんの髪も体も洗ってあげる。お風呂上りにはマッサージもサービスしちゃう」
「ふふっ……盛りだくさんだな。俺の奥さんは本当に甘やかし上手だ」


そこでようやく、湊が顔をあげる。

かすかに熱っぽく潤んだ瞳がとてもきれいで、胸が締め付けられる。


「そうだよ、湊さんは私にうんと甘やかされていいんだよ」


だから、夕妃は吸い寄せられるように彼に顔を近づけ、キスをせずにはいられなかった。



サービスすると言ったのに、結局夕妃もいつものように湊に髪を洗ってもらった。
だがそれは湊も楽しそうだったのでよしとした。

風呂上がりにお茶を飲んだ後、ベッドの上にタオルケットを敷いて湊の広い背中をマッサージする。


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