イジワル社長は溺愛旦那様!?
そのまま夕妃は湊の腕に抱かれたまま、向かい合ってベッドの上に横たわった。
部屋の端に置いてある間接照明が、湊の背後でオレンジ色の光を淡く輝かせ、湊の彫りの深い、彫刻のような端整な顔立ちを照らしていた。
「夕妃さん、俺の腕に頭を乗せて」
湊の言葉に夕妃はうなずいて、彼の腕に頭を乗せる。
すると湊はホッとしたように、
「あったかいな……」
ぽつりとつぶやいた。
湊は宣言通り、なにもしてこなかった。
彼が目を閉じたのを見ながら、夕妃はこの時間は本当に、そういうたぐいのものではないのだと、確信していた。
彼は眠るときにひとりでいたくなかっただけなのだ。
ぬくもりを感じたいという言葉は真実だった。
(湊さん……)
日曜日からたった一週間――けれど湊と一日一日過ごすたびに、新しい発見があった。
ドキドキしたり、ホッとしたり。安心したり、頼りがいを感じたり。
甘えてもいいと言われたり、甘えてほしいと思ったり――。
湊と一緒にいて、本当に今まで知らなかったような感情をたくさん知った。
そうしてふと……胸にストンと落ちてきた感情があった。
(私……湊さんと離れたくないな……)