イジワル社長は溺愛旦那様!?
翌朝――。
「――きさん……――夕妃さん」
遠くから声がする。
頬のあたりになにかが触れてくすぐったい。
「ん……」
寝返りを打って目を開けると、なんと目の前に湊がいた。
(うわぁぁぁ!?)
驚いて飛び起きると、それまで夕妃を覗き込んでいたらしい湊も体を起こして、にっこりと微笑む。
「おはようございます」
その落ち着き払った様子に、
(あ……そっか。昨日一緒に眠ったんだ)
夕妃はまぶたをこすりながらぺこっと頭をさげる。
寝る前は死ぬほど緊張していたのに、いざ横になると眠れてしまったのがなんだか恥ずかしくもある。
(湊さんはちゃんと眠れたかな……?)
そんなことが気になりながら顔をあげると、湊は顔を近づけてきて、ゆっくりと夕妃の髪を指でかきわけた。
「寝ぐせ」
(えっ!?)