イジワル社長は溺愛旦那様!?

翌朝――。



「――きさん……――夕妃さん」


遠くから声がする。
頬のあたりになにかが触れてくすぐったい。


「ん……」


寝返りを打って目を開けると、なんと目の前に湊がいた。


(うわぁぁぁ!?)


驚いて飛び起きると、それまで夕妃を覗き込んでいたらしい湊も体を起こして、にっこりと微笑む。


「おはようございます」


その落ち着き払った様子に、

(あ……そっか。昨日一緒に眠ったんだ)

夕妃はまぶたをこすりながらぺこっと頭をさげる。


寝る前は死ぬほど緊張していたのに、いざ横になると眠れてしまったのがなんだか恥ずかしくもある。


(湊さんはちゃんと眠れたかな……?)


そんなことが気になりながら顔をあげると、湊は顔を近づけてきて、ゆっくりと夕妃の髪を指でかきわけた。


「寝ぐせ」


(えっ!?)


< 216 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop