イジワル社長は溺愛旦那様!?

ハッとして髪に触ると、たしかにあちこちに毛先が跳ねている。

まさか寝ぐせを指摘されるとは思わなかった。夕妃の頬は真っ赤になる。


「あ、すみません、寝ぐせが可愛いと言いたくて」


(可愛い!?)


そういう湊は寝ぐせひとつついていない。
というか、サラッとしているし、よく見ればなんと昨晩着ていたリラックスウェアと色が違う。


(湊さん、着替えてシャワー浴びてる!)


驚いてとっさに彼のシャツをつかむと、湊は言いたいことがわかったのか、ふっと表情を緩める。


「昨日はよく眠れたから、いつもよりだいぶ早く目が覚めて、夕妃さんが眠っている顔を見てました」


(見てたって……もうっ!)


朝からいちいちドキドキして心臓がもたない。

夕妃は両手で顔を覆って、内心深いため息をついた。


「困らせるつもりはなかったんですが」


湊はそんな夕妃を見つめて、優しい笑顔を浮かべたまま、寝ぐせがついた髪を指ですいた。


「今、七時です。コーヒーを淹れますので、夕妃さんはシャワーでも浴びたらどうですか?」


(お気遣いありがとうございます……)


確かにシャワーでも浴びればすっきりしそうだ。

おまけに寝ぐせもなおせる。

こっくりとうなずくと、湊がベッドから降りて手を差し出してきた。


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