イジワル社長は溺愛旦那様!?

けれど湊は“あきらめないでほしい”という。

これは――すでに“ふたりの問題”なのだ。

ドクン、ドクンと心臓が強く跳ねる。


(でも、いいの……?)


緊張と興奮と混乱で、頭は真っ白だ。

湊は固まったままの夕妃に切なげに顔を寄せる。


「俺にあなたを守るための理由を下さい」


眼鏡の奥の瞳が煌々と輝く。

まるで星のようにきらめきながら、夕妃を見つめる。


「俺を受け入れて……」


湊の両腕が、夕妃の背中に回る。

広い胸に抱き寄せられて、夕妃は相変わらずなにも言えないまま、湊を見上げた。

熱っぽく囁く湊の声は甘く、そしてどこか苦しそうでもあった。


「うなずいてくれないと、俺はあなたをここに閉じ込めてしまうかもしれないよ……? 俺だけを見て、俺だけを愛してと、強要するかもしれない……俺は独占欲が強い男だから」


彼に閉じ込められて、愛される。

倒錯じみた甘い誘惑が夕妃の全身に広がっていく。


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