イジワル社長は溺愛旦那様!?
すると夕妃の視線に気づいた湊は、ハッとしたように目を見開く。
「見なくていい」
片手で顔を覆い、余計顔を逸らそうとする湊だが、夕妃も負けてはいない。
(いやいやそんなこと言われても、見ますよね。見たいですよね!)
慌てて彼の腕をつかみ、顔を覗き込もうと体を伸ばした。
「――仕事に行かないと」
なのに湊ときたら、言い訳がましくソファーから立ち上がって、なんと逃げようとする。
(あ、待って!)
夕妃も慌てて玄関に向かう湊を追いかけた。
「見送りは結構ですよ」
湊の口調はとてもそっけない。
だが夕妃とてあきらめきれない。
(で、でも、照れてる湊さんなんて貴重すぎるので! もっと見たいです!)
玄関に置いていたビジネスバッグを持って、さっさと靴を履く湊の腕を後ろから掴むと――。
「まったく……」