イジワル社長は溺愛旦那様!?
湊は振り向きざまに空いた手で夕妃の腰に手を回し、引き寄せ、覆いかぶさるようになんとキスをしてきた。
しかも触れるだけではない、最初から本気モードの、夕妃を完全に翻弄する、誘惑のキスだ。
「んっ……」
口の中に入ってきた舌でさんざんなぶられて、心も体も転がされて、ずるずると、夕妃はその場に座り込む。
(だ……だめ、立てない……!)
夕妃が転ばないように支えていた湊も、しゃがみこんで、夕妃の顎をつかんで持ち上げた。
「俺を煽るとこうなるよ。覚えておきなさい」
(はい……すみません、負けました……)
そんな気持ちで見返すと、湊がふっと勝ち誇ったように笑って立ち上がる。
「行ってきます」
(行ってらっしゃい……)
手を振りながら、玄関を出て行く湊を見送る夕妃だが――。
やはり湊の耳の後ろが真っ赤だったことに気が付いて、自然と笑みをこぼさずにはいられなかった。