イジワル社長は溺愛旦那様!?
そして翌日、朝陽は入寮し、湊と夕妃は夫婦になった。
入籍は至極簡単だった。
婚姻届けに必要事項を記入した後、湊の運転する車で役所に行き、夜間受付に提出して終わりだ。
久しぶりの外はドキドキしたが、湊が側にいてくれるので、まったく不安はなかった。
ちなみに保証人の欄にサインをしてくれたのは、湊の親友夫婦だという。
湊としては、入籍前に一度顔を合わせられたら、と思っていたらしいのだが、海外出張があるということで、時間がとれなかったらしい。
「まぁ、別に基になんか会わなくてもいいけどね」
ちょっと憎まれ口風に、湊が親友の名を口にしたので、きっとふたりはとても仲がいいのだろう。
湊の知らない一面を知れたような気がして、嬉しかった。
(もっともっと、そんな話を聞きたいな……)
婚姻届を出して夕妃は“神尾夕妃”になったが、湊との関係は出会って数週間、まだ始まったばかりなのだから。
(幸せすぎて、ふわふわする……ふわふわ……)
軽めに夕食を取ったあと、リビングのソファーでぴったりと湊にくっついていると、ポカポカして眠くなってきた。
ワインも飲んでいるので、少し酔っているのかもしれない。
「――夕妃、眠くなった?」
湊の胸にもたれるようにしてうつらうつらと船をこぐ夕妃に、湊がささやく。