イジワル社長は溺愛旦那様!?

「湊さん……」
「だから、秘書として、俺のそばにいてほしい。家でも、仕事でも、いつもそばにいたら、俺はあなたを一番に守れる男になれる」


そして湊は、夕妃の頬にふれ、唇に触れる。


「あなたになにかあったらと考えただけで、恐ろしくなる。あなたがいなくなったら、俺は気が狂うかもしれない。閑には過保護だって笑われたが……どうだろうか」
「そんな……」


湊の深い愛情に胸がつまる。


「ありがとう……」


夕妃はじんわりと目の端に浮かぶ涙を指先でぬぐい、改めて湊の前で居住まいをただす。


「湊さん、私、頑張ります。仕事もちゃんとやり遂げます。どうぞよろしくお願いいたします」


そして深々と頭を下げた。


「夕妃……」


湊はホッとしたようにうなずいて、それから夕妃の手をしっかりと握った。

ふたりの間に優しげな空気が一瞬流れたが次の瞬間――一転した。


「じゃあ、明日からさっそく研修だな」


湊がキリッとした表情で唇を引き結ぶ。


(えっ……? 研修?)


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