イジワル社長は溺愛旦那様!?
「エールの関連会社に人材派遣会社がある。とりあえずそこに旧姓で登録して、うちに派遣されたていを取ろう。だが最低限、秘書として派遣できるレベルでないと、もしかしたらあなたと俺の関係を疑われるかもしれない。違う意味で面倒ごとが起こっては元も子もないからね」
「えっと、それで、秘書の勉強……研修を?」
「念には念を入れよというしね。ビシバシ、体と頭に叩き込むから」
湊の涼し気な顔立ちからは甘さが消えていた。
「びっ……びしばし……」
「ではさっそく、カリキュラムを組むよ。そして明日から一週間、みっちり頑張ってもらう」
湊は夕妃の手を離し、すっとソファーから立ち上がると、
「まず俺のレベルまではさすがに無理だから……」
思案顔でブツブツとつぶやきながら、「こうしてはいられない」と、足早に自分の部屋へと向かっていく。
(え……えっ?)
もしかして新婚初日から、ビシバシ叩き込まれるのって、勉強ってこと!?
とういわけで。
非常に残念ながら、湊のお預けは――もう少し続くことになったのだった。