イジワル社長は溺愛旦那様!?

「ではよろしくお願いします」


窓口の職員に郵便物を渡し、郵便局を出る。

この郵便局のすぐ近くに、以前チェーロに持って行った老舗和菓子屋がある。


(そういえば夜のおやつがもうなくなってたけど……なにか買っておこうかな)


湊も甘いものは嫌いではないし、羊羹は日持ちもするので、買っておいて悪いということはないだろう。

痩せたほうがいいかなと思いつつも、結局甘いものをやめられない。


(食べるのを我慢するよりも、運動かな……ジムにでも通うべきか……。そういえば湊さんは、今日も夜は会食で夜遅いんだっけ……)


そんなことをあれこれ考えながら、和菓子屋に入り、食べきりサイズの羊羹をいくつか買って、店を出る。

軒下で、手袋をはめようと立ち止まったところで、突然、

「すみません」

ひとりの男性が道をふさぐように夕妃の前に立ちはだかった。


「はい?」


足を止め、声をかけてきた男を見て、「あっ!」と声をあげた。

なんとそこには、にこやかな笑顔を浮かべた、あの男が立っていたのだ。


「こんにちは」



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