イジワル社長は溺愛旦那様!?
華やかな容姿にビシッときまったスーツ姿。今日も手にコーヒーチェーン店のカップを持っている。
一度目は空港で出会い、二度目は朝陽と出かけたときに、カフェで話しかけられた。
(確か名前は……)
貰った名刺を思い出す。
「門脇(かどわき)さん」
そう、たしか門脇享佑(かどわきりょうすけ)という名前だった。
「ええ」
「――三谷と申します」
こうまできたら、さすがに名乗らないわけにもいかないだろう。
夕妃はペコッと頭を下げる。
「この近くにお勤めなんですか?」
「はい。すぐそこなんですが」
「そういえば秘書のお仕事をされていましたね。とすると、今は仕事中?」
夕妃が持っているからの封筒を見て、目を細める。
「エールマーケティングですか」
「あ……はい。そうです」
封筒には社名が入っている。
それでわかったのだろう。
(やっぱり目端の利く人だな……)
「三回目があればお食事でもといいましたが、どうですか?」
軽やかに誘われて、夕妃は驚いたが、さすがにオーケーすることはできない。
「あはは……そうでしたね。ですが私、男性とふたりで食事はできません。ごめんなさい、失礼します」