イジワル社長は溺愛旦那様!?

華やかな容姿にビシッときまったスーツ姿。今日も手にコーヒーチェーン店のカップを持っている。

一度目は空港で出会い、二度目は朝陽と出かけたときに、カフェで話しかけられた。


(確か名前は……)


貰った名刺を思い出す。


「門脇(かどわき)さん」


そう、たしか門脇享佑(かどわきりょうすけ)という名前だった。


「ええ」
「――三谷と申します」


こうまできたら、さすがに名乗らないわけにもいかないだろう。
夕妃はペコッと頭を下げる。


「この近くにお勤めなんですか?」
「はい。すぐそこなんですが」
「そういえば秘書のお仕事をされていましたね。とすると、今は仕事中?」


夕妃が持っているからの封筒を見て、目を細める。


「エールマーケティングですか」
「あ……はい。そうです」


封筒には社名が入っている。
それでわかったのだろう。


(やっぱり目端の利く人だな……)


「三回目があればお食事でもといいましたが、どうですか?」


軽やかに誘われて、夕妃は驚いたが、さすがにオーケーすることはできない。


「あはは……そうでしたね。ですが私、男性とふたりで食事はできません。ごめんなさい、失礼します」


< 298 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop