イジワル社長は溺愛旦那様!?
「な、な、なんでっ? あっ、社長は、社長は、もう来てます?」
こちらから本社に行くことはあっても、本社から取締役が来ることは少ない。
いったいなにが起こっているのか……。
衝撃のあまりいろいろ吹っ飛んでしまった夕妃は、若干慌てながらも恭子に問いかける。
「いや、それがね、そもそもおふたりで一緒に来たんだけど、社長は本社で緊急MTだとかなんとか……呼び出されて急いで出て行ったわよ。で、なぜか専務がここに残ってるのよ……MT行かないのかなって思うんだけど。わけがわからないでしょ」
「はぁ……」
確かにわけがわからない。
本社で会議があるはずなら、専務も同席して当然なのだが――。
「とういわけで、夕妃ちゃん、お茶出してきて」
「えっ……!」
「私は無理」
急に、恭子はわがままな子供のようにぷいっと顔を横に向ける。
「無理ってなんですか、無理って……」
すると恭子はウフフと照れたように笑って、そのまま乙女のようにうつむいた。
「だってね~なんていうか、専務の前って、緊張するの。ものすごーくドキドキしちゃって、お茶をひっくり返しでもしたら大変でしょ? 人妻なのに、いけないわよね、オホホ~」