イジワル社長は溺愛旦那様!?

(いったいなにを言われるんだろう……昨日のことだよね……)


元婚約者に会いたいと夫に話すなんて、どう考えても自分に非がある。

湊に言わないでいいことまで言わせてしまった。
彼を傷つけてしまった。

基は湊からその話を聞いたのかもしれない。


(やっぱり湊にお前はふさわしくないとか……? そういうやつなの……?)


確かにそうかもしれないが、湊の一番の親友にそう思われるのは辛い。

夕妃はズドーンと落ち込みながら、お通夜のような面持ちで顔を上げた。


「なんでしょうか……」
「本当は、こういうことを俺が言うのはおかしいと思うんだが」
「はい……」


(やっぱり来たっ……!)


判決を待つ被告人のつもりでごくりと息をのむ。

すると次の瞬間、基は少し前かがみになって、ささやいた。


「ガキの頃からの付き合いだが、あんな湊を見たのは初めてだ」
「え……?」


思ってもみなかった言葉に、夕妃は目をパチパチさせた。


「昨晩、仕事のことで思いついたことがあって、湊に電話したらあいつ、明らかにおかしくて」
「ええっ……?」


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