イジワル社長は溺愛旦那様!?

「まぁ、俺が遅い時間にかけておいてなんだけどさ、ちょっと話聞いたらわけわからんことを言うし」
「あの……」
「あんまりにも支離滅裂だから、夕妃はどうしたって言ったら、出て行ったっていうから驚いたぞ。慌ててタクシー乗ってマンションに行ったら、お前、マジでいないし」
「すっ……すみません、その、出て行ったというのは語弊がありまして……その」


まさか職場でこんなことを言われるとは思わなかった。

夕妃の顔がみるみるうちに赤くなる。

至近距離で、基の超絶美形顔に囁かれると、二重にドキッとすることは罪だろうか。
しかも声も甘く、低いので、攻撃力が高い。


「あの、湊さんとケンカしたとかではなくて、私がその……」


昨日のことを何と説明していいかわからず、しどろもどろになってしまった。


「なぁ」


基は軽く苦笑しながら、夕妃にさらに顔を近づける。


「湊は、お前のことが、好きで好きでたまらないんだ」
「……っ……」
「だから時々、バカになる」
「バカって……」


夕妃は顔を赤くしたまま、基を見つめ返した。


「湊さんがバカになるなんて、そんなの……」
「わからないのか?」


基は灰色の瞳を輝かせながら、軽く首をかしげる。


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