イジワル社長は溺愛旦那様!?
「本社で会議だったんですよね? お車呼びますか?」
「いや、適当にタクシー拾うことにする。待っている時間が惜しい」
基は軽く首を振る。
「ちなみに湊は昨晩は俺にさんざん飲まされて、話した内容はほとんど覚えてない。仕事のことしか話してないと思ってる。俺がここに残ると聞いてかなりいぶかしがっていたから、この“おせっかい”は内緒だぞ」
基は口元に人差し指を当てて、夕妃を見下ろしニヤリと笑った。
「はいっ」
夕妃も笑って、うなずいた。
どうやらこれは、基なりの“おせっかい”らしい。
だが基のおかげで、とりあえず落ち込んだり反省するのは、行動したあとにしようと、思えるくらいに心は軽くなった。
「ありがとうございました」
「ん、じゃあな。今度はふたりでうちに来いよ。沙耶が会いたがってる」
「はい。楽しみにしてます。お気をつけて」
エールマーケティングの前まで基を見送って、タクシーを停めて乗り込む基に手を振った。
それから夕妃は秘書室に戻り、スマホとメモを取り出した。