イジワル社長は溺愛旦那様!?
門脇からもらった電話番号が書きつけられた、ペーパーナプキンだ。
(覚悟を決めよう……これは私の意志で、私が進みたい未来への一歩なんだから……)
いつもどおりエールマーケティングでの仕事を終えて、終業の時間がやってきた。
「お疲れさま、夕妃ちゃん」
「恭子さん、お疲れ様です」
「今日は結局社長戻ってこなかったわね~」
朝一番に出かけて行ったまま、湊はまだ本社にいる。
デスクについたまま、恭子はうーんと腕を伸ばし、肩を回した。
「そうですね」
うなずきながら、夕妃も手早くデスク周りを片付け始める。
そのてきぱきした用を様子を見て、恭子が首をかしげた。
「今日、なにかあるの?」
「あ、はい。人を待たせていて。ではすみません、お先に失礼します!」
「うん、気を付けてね~」
いつものように、ひらひらと手を振る恭子にペコッと頭を下げて、夕妃は秘書室を飛び出しエレベーターに飛び乗った。
そして階下に降りる途中、たまたま澄川と一緒になる。
「あ、三谷さん、お疲れ様」
「澄川さん、お疲れ様です」
そのまま建物のエントランスを並んで歩く。