イジワル社長は溺愛旦那様!?
「ゆっ、夕妃っ!?」
慌てた湊に抱きかかえられる。
「ごめんなさい……ホッとしたら、力が抜けて……」
湊の腕をつかんだまま、夕妃がへらっと笑うと、湊が困ったように首を振る。
顔に、寿命が縮まったと書いてある。かなり心配をかけたはずだ。
謝らなければと思ったが、まずお礼を言いたかった。
「湊さん、来てくれて、ありがとう」
「夕妃……」
「私、湊さんに拾ってもらってから、たくさん力を貰ったんだ。だから、あの人に会おうって思えたの……だから、私に人として、ちゃんと謝る機会をくれたのは、湊さんなんだよ。本当に……ありがとう」
湊に支えてもらいながら、夕妃はなんとか立ち上がると、それからもう一度、腕を伸ばし、ぎゅうっと湊の背中に腕を回す。
「でも心配かけてごめんね……まだ怒ってる?」
「ああっ、もうっ……」
湊は呻くように声をあげたあと、そのまま夕妃の背中をきつく、きつく、抱きしめる。
「怒ってたよ、自分にっ……嫉妬深い自分に心底嫌気がさして……自己嫌悪で……! こんなことで夕妃を失うかと思ったら、死んだほうがましだと思うくらいに、自分に腹が立ってたよ。ここに来たのだって、桜庭への怒りのほうがずっと大きかった……!」
「湊さん……」
抱き合っていると、湊の鼓動が伝わる。