イジワル社長は溺愛旦那様!?
エピローグ
「やーーーっと聞けたよ、京都の続き! すっきりした! なるほど、誘拐したんじゃなくて保護して、それから恋に落ちて結婚したってわけだね。いや、当時はあの神尾湊がどこからか女の子攫ってきて、合法的に監禁しようとしてる、やばい!って評判だったからさ~」
夕妃の長い話を聞き終えたあと、山邑始はようやく満面の笑顔になった。
彼が手に持ったシャンパングラスに、太陽の光がきらりと反射して美しい。
「すっきりされたのはよかったです」
(でも監禁……って……)
夕妃は、始があごさきのあたりをつまみながら、うんうん、と訳知り顔でうなずくのを眺めながら、笑うしかなかった。
(それに私もさすがに春まで引っ張るとは思ってなかったな……まさか山邑さんが覚えてるとは思わなかったし。ハワイで身の上話をすることになろうとは……)
大きなパラソルの下にいるが、やはり日差しがまぶしい。
夕妃は目を細めながら、青い空を見上げた。
ここは東京から飛行機に乗って六時間強の場所にある、常夏の国、ハワイ。そして山邑始が副社長を勤めている、山邑リゾートのひとつである。
完全に貸し切り型のコテージで、大きなプールの周りは色とりどりの、鮮やかな花でいっぱいに飾り付けられている。