イジワル社長は溺愛旦那様!?
ソファーからベッドに移動して、長い時間をかけて抱き合った後、
「あ」
湊が唐突に、声を上げた。
彼の腕の中でうとうととまどろんでいた夕妃は、何事かとまぶたをこすりながら、目を開けた。
「どうしたの……?」
「出張」
「え……しゅうちょう?」
「酋長じゃない、出張だ。明日から二泊三日で、大阪出張だった」
「――えっ!」
その言葉にようやく目が覚めた夕妃は、裸の胸にシーツを引き寄せながら、上半身を起こした。
「予定入ってた?」
「いや、今日の会合で半ば無理やり誘われた感じだな……」
眼鏡を外した素顔の湊は、両手で顔を覆って、かなりめんどくさそうにため息をつく。
手土産をもって会った取引先の会長は、とても湊をかってくれていて、なにかと目をかけてくれているのだが、かなり強引なところもあった。
おそらくその関係での関西入りなのだろう。
(明日から二泊三日で、出張……!)