イジワル社長は溺愛旦那様!?
今日が火曜日なので、金曜日に帰社だろうか。
朝一番で、明日からの二日間の予定を変更しておかなければならない。
夕妃の頭の中は、甘い夫婦の時間から、湊のスケジュール管理にタスクが切り変わった。
「何時の新幹線です?」
「いや、飛行機だ」
湊はため息をつきつつベッドから降りると、ナイトガウンを羽織って肩越しに夕妃を振り返る。
「悪いけど一緒に来てくれるか」
「それは……秘書として?」
念のため尋ねると、湊は肩をすくめる。
「そうだ」
「わぁ……」
思わず感嘆のため息を漏らす夕妃だが、湊は苦笑して髪をかき上げた。
「遊びに行くんじゃないんだぞ」
「わかってますって。もちろん秘書として、一切のプライベートを挟むことなくお供します」
湊はなんだか憂鬱そうだが、いまだかつて、秘書を伴っての出張というのは一度もなかったので、少しワクワクしはじめてきた。
(こんなこと言うと湊さん呆れるかもしれないけど……新婚旅行みたい! 楽しみ!)
そんな出張前夜の夜――。