イジワル社長は溺愛旦那様!?
上司と部下で、出張お泊り

翌朝、湊と夕妃は朝の七時に空港のファーストクラスラウンジにいた。

今回は大阪までなのでビジネスクラスなのだが、湊は最上級のプラチナ会員なのでいつでもラウンジを利用できるらしい。


「コーヒーどうぞ」


湊の前のテーブルにコーヒーを置く。


「ありがとう」


湊は一瞬顔を上げると、カップを手に取って、口元に運んだ。
ラウンジのゆったりしたソファーに座り、タブレットからメールを送っている湊のまなざしは真剣だ。

そんな彼を見て、出勤前にキスをしたことが、嘘のような気がしてくる。


(出張かぁ……なんだかドキドキするなぁ……)


ネイビーの三つ揃えの湊と、ベージュのスーツの夕妃は、どこからどう見ても仕事関係で、ふたりの間に甘い雰囲気はない。

ふうっと息を吐きながら、湊の邪魔をしないように少し離れた、開放的なフロアのテーブルにつき、システム手帳を広げる。


(えっと……こっちのA社関係の連絡は恭子さんにまかせて、B社のほうは京都についてから、直接向こうの秘書室にお電話したほうがいいかな……いや、一応先にメールしておくか)



< 41 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop