イジワル社長は溺愛旦那様!?
目を覚ますと、頭上には白い天井が広がっていた。
見たことのない景色になんとなく視点が合わないような気がして、目を凝らす。
(ここは……)
「ねえちゃんっ……!」
岩のように大きな朝陽が、夕妃の顔の前にいきなり現れる。
「よかった、目覚ました!」
(朝陽くん……)
よく見れば、目が真っ赤だ。
(朝陽くん……泣いてるの?)
夕妃は驚いて朝陽の頬に手を伸ばし、名前を呼ぼうと口を開く。
「あっ、ああ、あ……」
(あれ……?)
だが、口を開いた瞬間出てきたのは、名前どころか単語ですらなくて。ひきつるような音だけだ。
(なんだか、声が……へん……)
思わず喉のあたりを指で触れると、ベッドに両腕をついて夕妃を見下ろしていた朝陽が、朝陽が怪訝そうな表情になる。
「どうしたんだ……どっか痛いのかっ!? くそっ、どこも悪くないって言ってたのに……っ! 先生呼んでくる!」