イジワル社長は溺愛旦那様!?

目を覚ますと、頭上には白い天井が広がっていた。
見たことのない景色になんとなく視点が合わないような気がして、目を凝らす。


(ここは……)


「ねえちゃんっ……!」


岩のように大きな朝陽が、夕妃の顔の前にいきなり現れる。


「よかった、目覚ました!」


(朝陽くん……)


よく見れば、目が真っ赤だ。


(朝陽くん……泣いてるの?)


夕妃は驚いて朝陽の頬に手を伸ばし、名前を呼ぼうと口を開く。


「あっ、ああ、あ……」


(あれ……?)


だが、口を開いた瞬間出てきたのは、名前どころか単語ですらなくて。ひきつるような音だけだ。


(なんだか、声が……へん……)


思わず喉のあたりを指で触れると、ベッドに両腕をついて夕妃を見下ろしていた朝陽が、朝陽が怪訝そうな表情になる。


「どうしたんだ……どっか痛いのかっ!? くそっ、どこも悪くないって言ってたのに……っ! 先生呼んでくる!」



< 61 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop