イジワル社長は溺愛旦那様!?

「だって仕方ないだろ。姉ちゃんウエディングドレスだったんだから、嘘のつきようがないし。あいつら、今だって俺たちのこと探してるかもしれないし、見つかったりしたら、姉弟でどんな目にあわされるかわからないっていう話をした。そしたら同情してくれて、とりあえず俺もここに好きなだけいていいって。よかったよ」


朝陽はアハハと笑いながら、椅子の背もたれにもたれた。

もちろん夕妃は笑えない。


【よくないよ! あの人は無関係でしょっ!?】
「でも金持ちだ」
【はあー!?】


夕妃は次々にメモをはいでゴミに捨てながら、目をむいた。


「さっき聞いただろ。この病院、親族が経営してるんだって。この病室だって、特等室だ。貴族の余裕ってやつだよ。ちなみに名前は神尾さん。三十三歳、独身だって」


(神尾さん……三十三歳、独身……)


あんなに魅力的なのに独身なんだ、と一瞬考えてしまった夕妃だが、いやいや恋人がいるのだろうと思うし、同時にそんなことを私が気にしてどうすると、夕妃は青くなったり赤くしながら、ボールペンを強く握った。


【だからってごめーわくかけていいわけじゃないでしょっ!】


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