イジワル社長は溺愛旦那様!?
だがついでといってはなんだが、コンビニでワインのミニボトルも買っている。
「なんかこういうの、懐かしいかも……」
夜景が一望できる窓際の、テーブルの上に、魚の煮つけや、卵焼き、湯葉挙げ、野菜の煮物を並べて、ニヤニヤする。
まだ、朝陽と一緒に住む前、一人暮らしをしていた夕妃は、基本は自炊だったが、たまにの贅沢として、商店街で割引されたお惣菜を買って、お酒を飲むのを楽しみにしていたのだ。
すでにシャワーを浴びて、備え付けのネグリジェタイプのパジャマに着替えていた夕妃は、
「いただきまーす!」
と手を合わせて、箸を伸ばした。
まず口の中にいれたのは湯葉揚げだ。
「やっぱり京都って湯葉だねぇ……おいしい……」
グラスにワインをそそいで、きゅーっと飲み干す。
湊と住むようになってそれほど飲まなくなったが、基本的にワインは大好きである。
おいしい、おいしい、と箸もグラスもすいすいと進む。
「あー、おなかいっぱい……もう食べられないよ~ごちそうさまぁ……」
夕妃はふうっとため息をつくと、おなかをなでさすったあと、椅子から立ち上がる。
ごみを買ってきたビニール袋に詰めて、ゴミ箱に捨てると、そのまま洗面台へと向かう。