イジワル社長は溺愛旦那様!?
【もう寝てたのか?】
「うん……うとうとしてた……」
夕妃はうなずきながら、ベッドの上でゴロゴロと転がった。
湊はまだ京都だろうか。
今夜は帰らないという連絡なのだろうかと思いながら、まぶたをこする。
【開けて】
「え……?」
【帰ってきた】
それからトントン、とドアが叩かれる音がする。
「ええっ!?」
夕妃はベッドから跳ねるように飛び起きて、そのままの勢いでドスン、と床に落ちた。
「いったーい!」
【夕妃?】
電話の向こうで湊が驚いている。
「ごめんなさい、び、びっくりして、落ちました……」
【だ、大丈夫なのか?】
さすがに慌てた様子の湊に、夕妃はアハハ……と笑って返し、四つん這いのままドアへと向かい、なんとか立ち上がると鍵を開けた。
ドアが内側に開くと同時に、湊が部屋の中に入ってくる。
昼に別れたときとまったくかわらない、一糸乱れぬ美しい湊だ。