イジワル社長は溺愛旦那様!?
「――気になる?」
(気になるかって、当たり前でしょ!)
ぐっと目に力を込めると、次の瞬間、朝陽はクスッと笑って、夕妃ときちんと向き合った。
「そもそも俺が姉ちゃんの結婚式に出ること、学校のやつらにも誰にも話してない。だってギリギリまでぶち壊してやろうかどうしようかってずっと迷ってたし。いざ行動に出たら、自分一人ならなんとでもなるけど、みんなを巻き込むわけにはいかないだろ。ただ、こうなった以上、あのクソ男が姉ちゃんを探して俺の学校に来ないとも限らないわけでさ。だから姉ちゃんが倒れたから、今週いっぱい休みますって月曜日に連絡して、それからせっせと荷物つめて、こっそりここに運びだしたってわけ」
まさか朝陽が最初から結婚式をめちゃくちゃにしようと考えていたとは気が付かなかった。
確かに思い悩んでいる様子はあったが、受け入れてくれると勝手に思い込んでいたのだ。
【でも、あの人が学校に本当のことを話したら】
メモを書くと、朝陽は苦笑して首を振る。
「いやいや、あの見栄っ張り、絶対他人に花嫁に逃げられたなんて言わないだろ。あの場にいたのは自分の身内と関係者ばっかりだったし、全員にかん口令を敷いて裏で探してるに決まってるよ」
そして朝陽は、緊張で体をこわばらせている夕妃の肩に手を置いた。