イジワル社長は溺愛旦那様!?

いや、おそらく神尾だって気が付いているはずだが、慣れっこなのだろう。
いちいち人に見られているからと、反応したりはしないのだ。


(なのに私が隣を歩いていると、明らかに変だよね……)


卑屈に拍車がかかる夕妃だった。


「今日は陽気がいいですから冷たいものもいいですね」


一方神尾はウェイターからメニューを受け取って、夕妃との間にそれを広げた。

確かに歩き回って、喉も渇いていた。
夕妃がアイスティーを指さすと、神尾はうなずいた。


「甘いものはいかがですか。ちなみに僕は、結構好きなので、夕妃さんといると頼みやすいのですが」


夕妃は驚き、目の前のペーパーナプキンをとり、ボールペンで

【本当に?】

と書きつける。
どう見たって神尾に甘党が似合わない。


「本当ですよ」


【私もです】

「ではひとつ頼んで、シェアしましょうか」


結果、ふたりでメニューを覗き込んで、ふたり同時に指をさしたのはパンケーキだった。


【生クリームたっぷり乗ってますけど大丈夫ですか】



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