イジワル社長は溺愛旦那様!?
(あ、えっと……)
夕妃はボールペンを取り出して、朝陽の残したメモの裏に慌てて書きつける。
【朝陽くんには社会人の彼女がいます】
年は朝陽の三つ年上で、過去夕妃も会ったことがあった。キリッとした感じの美人だ。
「じゃあ泊まり?」
神尾はそのメモを見て軽く首をかしげる。
(……ええっ!?)
目をむく夕妃だが、確かに言われればそんな気がしないでもない。
夕妃とふたりで暮らしていても、たまに出かけて外泊することもあったのだ。
(え、でもそうしたら……私と神尾さん、ふたりきりでは????)
「――」
「――なるほど」
神尾は納得したようにメモをそのままテーブルの上に置くと、硬直している夕妃を肩越しに振り返った。
「なかなか面白い弟さんですよね」
にっこりと微笑む神尾に、夕妃は息をのむ。
(えっ、もしかして朝陽くんって、わ、わ、わ、わざと出て行ったのっ!?)