イジワル社長は溺愛旦那様!?
せめて少しでも自分のできる範囲でと、感謝の気持ちと思って夕食を作ってみたが、冷蔵庫の中身が男性の一人暮らしとは思えない充実ぶりで、もしかして彼女のような人が本当は一緒に住んでいたのではないだろうか、自分が追い出してしまったのではないかと、考える始末だ。
きっとこの数日で夕妃が知った神尾なら、同棲している彼女がいたとしても、可哀そうな姉と弟のために、痕跡を残さずとりあえずほかの住まいへと、移動させたりしそうなのだ。
(そんなの私、望んでないのに……)
ビーフシチューとサラダとコンソメスープを作り、それを食べた後、薬を飲んで、夕妃は二階のゲストルーム用のバスルームでお風呂に入った。
(神尾さんの彼女ってどんな人かな……)
ゆっくりと体を温めながら、夕妃は目を閉じた。
――清楚なお嬢様タイプ……それともとびっきりのモデル美人系?
面倒見がいいから、おっとりした箱入りお嬢様でもありかもしれない。
それとも対等な雰囲気のバリキャリ系とか――。
だがどんな相手でも、神尾はうまくあわせて付き合えそうな気もする。
(私なんか……全然相手にされないだろうな……)