美形鬼社長は、フランス人形に溺愛中!?
社長……!?
私は、どちらの言葉にも動揺する。
頭が真っ白になる。
婚約者が居たなんて……。
「あら、事実をお伝えしたまでですわ。
親が決めた婚約者でも、お互いに利益になって
何の不満がありますの?
それに、いつまでも人形だのとおままごとをする
年ではありませんでしょ?そろそろ
結婚の話を進めて頂かないと困りますわ」
「えっと……何さんだったかしら?
あなたも採用されたばかりで何ですが……もう少し
自分の立場を考えて下さいね。
ご自身のためにも……」
自分の立場……!?
何なの……それ。
彼女は、それだけ言うと帰ってしまった。
「…………。」
シーンと静まり返る部屋。
「まったく……あの人には、困ったもんだ。
おままごと……?冗談ではない。
キティの良さもろくに知らないくせに」
ズキッと胸が痛む。
社長は、いつもキティのことばかり。
「あ、あの……お茶を淹れてきますね」
私は、すぐさま社長室から出ていく。
涙が溢れそうだった。
私……やっぱり社長のことが好きなんだ。