美形鬼社長は、フランス人形に溺愛中!?

『何かあったの……?』

『えっ?』

私は、驚いてキティを見る。

『何だか元気がないもの。
私で良かったら相談に乗るけど?』

キティ……。

彼女は、いつも私を気にかけて気づいてくれる。
今も……。

でも、言えない。
会ったばかりの人にkissをされたなんて。

社長だったら良かったのにと思う罪悪感は、
口に出せなかった。

『……大丈夫よ。キティ。
ただの寝不足だから。今日同居している友人の
誕生日パーティーの準備をしていたら
夜更かししちゃって』

フフッと笑って誤魔化した。

『そう?それならいいのだけど……』

ズキッと胸が痛む。

キティに嘘をついてしまった。
また罪悪感が生まれる。
こんな嘘なんて言いたくないのに……。

そして罪悪感を抱えたまま
午後になってしまった。
私は、キティを連れて移動することに。

向かう先は、資料室。
彼女がいくつかの資料を見たいと言ったからだ。

移動途中に大きな窓から景色を見る。

『今日は、いい天気ですね』

そう言いながら歩いていると
清掃業者の人とすれ違いそうになる。
すると

「やぁ?また会ったね」と誰かが声をかけてきた。

えっ!?

慌てて振り返るとその清掃業者の人が
私を見てニヤリと笑った。

帽子を深く被っていたから気づかなかったけど
あのフリージャーナリストの柚木って人だわ!?

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