美形鬼社長は、フランス人形に溺愛中!?
「…………。」
黙り込む社長。
その表情は、苦しそうだった。
「あなたのやるべきこと。
それは、ケイティを救うことではないの?
自分の気持ちに素直になるべきよ!」
「ダメだ。そんなことをしたら
キティが……」
必死に拒もうとする。
今にも泣きそうな表情で……。
「あなたは、怖いのよ……私が消えることが。
彩人が一人前になった時……それは、
私が役目を終えて成仏することに繋がるわ。
祖母から……母親。そしてあなたに渡ったから
私の主は、あなただけど。私の役目は、
悲しんでいる主を見守り一人前にすること」
「それが、私の造ったケイティの祖母の
願いだったわ。
あなたは、私に甘えてるだけ。
母親と同じように接している私に。
でも、それではダメ。
彩人。あなたは、もう大人なのよ!
小さい子供のように甘えていたらダメよ。
自分で歩いていかないと……」
それは、キティの願いでもあった。
主である社長を一人前の大人にすること。
自分の力で……生きていくことが。
「俺は、ずっと寂しかった。
両親が仕事で居なくて……ずっと独りぼっちだった。
だから……キティと話せるようになった時は、
凄く嬉しかった。
時に母親のように……そばに居てくれるキティが
何より大切なんだ。俺は、君と離れるなんて考えられない」
「居るじゃない。ケイティが……」
涙を流す社長にキティは言った。