【完】八月は、きみのかくしごと


 ◇

 空き地を出て早々と御門屋へ向かう。

 奏多はもう来てるだろう。

 トキさんに会うのは気が重いな。

 でも、これは奏多のやりたいことだから後回しには出来ない。


 「後回し星人か……」

 ひとり口に出して呟いてみる。

 不思議と靄がかかった心が晴れていくようだった。

 きっと、陸と話せたからかな。

 奏多が言っていた通りお互いに話してみないと本心は見えないんだね。


 「ほお。後回し星人とはお前にピッタリじゃないか」

 わたしはギョッとしてその場で石のように固まった。

 「鬼丸……?」
 
 恐る恐る空に向かって問いかける。
 
 「わかっているとは思うがお前に残された時間はあと少しだぞ」

 しゃがれた声にごくりと喉を鳴らした。

 今日は八月十五日。

 八月最終日まであと半分……。


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