【完】八月は、きみのかくしごと


 『最高の夏休み計画書』


 きっとこれ以上なんてない。

 わたしは涙を払い、空を仰ぐ。

 夜の海に光る星が輝いている。

 奏多との思い出は、影森の空を瞬く星のようにキラキラしている。とても眩しい。


 「だから、俺達は大丈夫だよ」

 奏多の頬を涙が何度も流れていった。

 それでも奏多は微笑んでみせる。

 わたしの大好きな、星が滲んだような笑窪を浮かべて。



 奏多の言葉に心が凪いだ海のように静かになる。風が止んだみたいに。

 温かくて、優しい気持ちだ。

 その言葉だけでわたしはもう十分だったと思う。


 「うん」

 わたしは深く頷いた。

 さよならをしなきゃいけない。わたしと奏多は。



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