【完】八月は、きみのかくしごと
非現実すぎることに心底驚いたと同時、七月の分はカットされてるのかとも思った。
どうせなら夏休みの当日からにしてほしかったな。ケチ。
そもそも、鬼丸の言っていた生きる理由と過ちって一体なんだろう。
それを見つけるために、わたしは今ここにいる。
生きるために。じゃなきゃ、わたしに未来はないのだ。
裁判所にいた時よりもだいぶ落ち着きを取り戻してきたようだ。
部屋を出ると階段下から物音が聞こえた。
玄関のドアを開けた音?
お父さんだ……。
この家には、母さんが死んでしまってからわたしとお父さんの二人だけなのだから。
記憶の泉で見たお父さんの憔悴しきった姿を思い出すと、心臓がギュッと縮んだように苦しい。