【完】八月は、きみのかくしごと
生きたい理由と過ちを見つけてくること。
それは今回のわたしの夏休みの課題だった。
未来を生きるために、わたしに必要な理由。
でもきっと、それだけじゃない。
「鬼丸。わたし……わたしね。思ったんだ。夏休みをやり直して気づいた」
鬼丸はわたしの答えを待っている。
「もしかしたらこの夏は、わたしが“さよなら”をするための時間だったのかなって」
それは、ずっと一緒にいた奏多と。
母さんが大嫌いで思い出から逃げてきたわたしと。
明日でいいと後回しにしてきたわたしと。
時間を、命を無駄にしてきた日々と。
大切なことを見落とした自分自身と。
わたしには、さよならをする時間が必要だったんじゃないかな。