【完】八月は、きみのかくしごと


 外から流れてくる生温い風にどこかの夕飯の匂いが混ざってきた。

 遠くで子供達が「また明日ね」とかけあう声が聞こえる。

 この影森はなにもない田舎町だけど、わたしはこの町が嫌いじゃない。むしろ、好きだと思う。


 奏多がいるから。

 この町にはずっと、奏多がいたから。


 生きたいのなら、生きたい理由と過ちを探さなきゃいけないんだ。

 わたしに見つけられるかわからない。

 けれど、時間を無駄にしないように過ごそうと強く思った。


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