【完】八月は、きみのかくしごと
第五章:『思い出を背負うひと』
奏多にもらったお土産の風鈴はリビングの窓辺にぶらさがっている。
夏風が優しい音色を鳴らした。
ふたつの目的を達成したけれど、あの日見た奏多の『最高の夏休み計画書』には、やりたいことがたくさん書かれていた。
もちろん、わたしは自分で言った通り最後まで付き合うつもりでいる。投げ出そうとは思わない。
続きは、奏多が家の手伝いが落ち着いたら始めることになった。
奏多が家の手伝いをするなんて今まで聞いたことないな。
そう言ったら「今年はやらないとまずいからな」と、奏多は苦く笑ったのだった。
この夏の奏多は色んな表情を見せる。
凛子や陸に会ったときも。
ーーーあのときもそうだ