【完】八月は、きみのかくしごと


 小学五年生の秋。

 クラスのめあてを新しく決める時間でみんなで大縄を跳べるようになろうと誰かが言った。

 ひとクラス二十人弱。

 みんなで跳ぼうと一致団結を誓った。

 正直わたしはやりたくなかった。ひとりが引っ掛かかればやり直し。わたしは絶対引っ掛かる自信があった。

 地面を叩く縄のなかに入る瞬間が怖いし、タイミングも掴めない。

 なによりヘマをしてみんなをやり直しさせるわけにはいかないと思うと緊張で吐きそうになった。

 だからあとひとりを選別していた縄を回す側に立候補をしたけど

 『ごめん。凛子ちゃんに決まったから』

 わたしは跳ばなきゃいけないのかと落胆した。


 一度は挑戦してみたものの縄が頭に降ってきて失敗した。十回は跳んでいたみんなが『あー……』とガッカリしてわたしを見た。
 
 
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