【完】八月は、きみのかくしごと


 トモちゃんは誰が相手だろうと自分の言いたいことは言う人だ。

 それが例えお客さんであったって意見を曲げたりしない。

 女性なのに男らしい性格で頼もしい。

 「……でもさ、わたし的には進歩してるじゃん? 少しは褒めてよ」

 「ふん。洗濯なんて小学生でもやるわよ」

 「じゃあ、明日からもっと頑張る」
  
 空気が抜けるように声がしぼんでいくのが自分自身でわかった。

 「出た出た、あんたの口癖。明日明日ってねぇ……その明日が、当たり前に来る保証でもされてるのかい?」

 わたしはハッとして息を飲む。

 まさに今わたしが置かれた状況を言い当てたように感じたからだ。

 脇の下にじわりが汗が広がる。

 奏多にも言われた。

 陸にだって「後回し星人」なんて変な呼び方をされた。


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