【完】八月は、きみのかくしごと
「今日から頑張ってみるよ」
明日からじゃなくて、今から。
自然と言葉となって溢れた。
最後の夏休みを死ぬ気で生きてみるよ。
わたしの思いは鬼丸にも聞こえているかな。
トモちゃんがわたしの右手をそっと包んだ。
「……手を洗ってきなさい。作るならとびきり美味しいカレーにするんだから」
「ありがとう」
鼻を啜るトモちゃんの手はガサガサで、たくましくて、優しかった。
その温もりは少しだけ、わたしにお母さんを思い出させた。