雪と初恋
休み時間にクラスメイトに囲まれながら、ちらりと前の席を見る。
やっぱりその子はまだ寝てた。

結局その子は、お昼休みにも起きることはなく、帰りのホームルームが終わるまで、ずーっとお休み中だった。

不思議なことに、クラスメイトも、先生すら、そのことに対してなにもいわない。

……なにか、面倒な子、なのかな?
近付かない方がいいのかも。
 

帰りにクラスメイトと話をしている間に、いつの間にかその子はいなくなってた。
帰宅するために教えられてたバス停に行くと、その子がそこでバスを待っていた。
今日始めてみる、起きているその子は、なんだか見るからに消えてしまいそうな子だった。

細く柔らかそうな長い髪。
大きな瞳にぷっくりとしたピンクの唇。
とても綺麗な顔なのに、それに似つかわしくない、右目の眼帯。
少しでも力加減を間違うと、ぽっきりと折れてしまいそうな体。

存在感が希薄で、そこにいること自体が幻かと思えてしまう。

「……あなた、誰?」
 
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