雪と初恋
「え?」

「ましろ!」

「……ましろ」

怒った彼女に負けて、名前で呼ぶとふふふと嬉しそうに笑った。

でもその後、僕がなにをいってもましろは無表情に黙ってて、さっきのは一体なんだったんだろうと、首を捻るばかりだった。

そのうちバスがきて、ましろと離れた席に座る。
このバスに乗るのは僕が住んでる村の人間しかいないはずだから、きっとましろも同じところで降りるんだろう。

案の定、同じバス停で降りて、村までの一本道を前後しながら黙って歩く。
分かれ道まできたとき、不意にましろが口を開いた。

「また、明日」

「え?……ああ、明日」

それだけいってふふふと笑うと、ましろはまた無表情になって、僕の家とは反対方向に歩いて行った。


「母さん。雪さんって知ってる?」
 
家に帰って、なんとなく気になって母親に聞いてみた。
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