恋愛白書
「てか、お願いあるんだけど」


俺はやしなちゃんの顔を覗き込む。


「ん?」

「杉森くんってなんか呼ばれ慣れてないからやめてくれない?」


...普通に言えた。


「え?じゃあ、なんと?」

「虎みたく丈でもいいし。まちゃみたいに丈くんでもいいし」

「...じゃ、じゃあ、丈くんで」


やしなちゃんが恥ずかしそうに言う。


「ラジャ」


俺は指で丸を作る。


こんなに嬉しいのか。
好きな子に名前で呼ばれるって。


「そろそろ行こう」


やしなちゃんが前を向いて歩き出す。


「え!?アクセサリーはいいのかよ!?」

「うん。なんかどうでもよくなっちゃった」


...なんだそりゃ。


やしなちゃんを見るとスキップして歩いていた。

なんかご機嫌。


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