恋愛白書
「...これくれますか?」


俺は気づいたらそのネックレスを手にとっていた。

あげたいな。
そう思ったんだ。

俺、超がつくほどのドケチだって
みんなに言われるのに。

やしなの顔が浮かんできたんだ。


「580円です」


お店の人に言われたまま財布からお金を出す。

安物だけどな。
喜んでくれそうだからな。


「ありがとうございましたー」


ネックレスを受け取ってすぐに走り出す。

渡したいし
見つけたいし


一人で不安かもしれない。
家の近くでもない
こんな知らない土地だし。


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