恋愛白書
「丈くん」


やしなが俺を見て駆け寄ってくる。


「心配してきてみたけど、デート中か」


俺は整わない息を吐きながら言う。

こんなこと言いたいわけじゃない。


「ち…違うの」


やしなが困った顔になる。

こんな顔させたいわけじゃないのに。


「あーあー。邪魔が入っちまった。丈なら、やしなは丈んとこ行っちまうしなぁ」


しょったがはぁっとため息をつく。


「じゃあ、行くぞ。みんな待ってる」


俺はやしなの手を握って歩き出す


「...うん」


やしなもそのまま歩き出す。

握っている手が熱い。
小さい手だな。


< 131 / 447 >

この作品をシェア

pagetop