恋愛白書
「あたし、しょったのこと好きなんて言ってないもん」


悔しかった。

こんなに好きなのに。
せっかく仲良くなってきたのに。

仕方ないけど。
好きなのは自分だけで。

やっぱり脈なんてなくて。


「...ごめん」


丈くんがあたしの前にきて頭を下げる。


「...丈くん?」

「...無神経でごめん」

「...丈くん」

「俺のこと嫌いにならないで。あとこれ...」


丈くんがポケットから包み紙を出す。


「え?」

「あげる」

「...なに?」

「いいからもらって」


丈くんがあたしの手に包み紙を載せる。


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